遺影のはなし
お葬式とは何か、という話を以前書きました。
お葬式には必ず「遺影」が必要、と
思っている人もいるのではないでしょうか。
最近は葬儀社などが、
元気なうちに自分が気に入るような遺影を
撮影するイベントなどもしているようです。
葬儀・告別式で多くの親族や友人知人が集い、
自分の死を悼んでくれる。
その際の中心となる遺影が
何だかパッとしない写真だったら嫌だな、
という気持ちは良くわかります。
少し前まで遺影というと、
喪服を着たように加工したものが多かったですね。
しかし最近では自然なスナップ写真を
そのまま使うこともあります。
遺影の役割や意味は、
変わってきたと感じています。
例えばかなりの高齢で亡くなった場合、
近親者もそれなりの年齢です。
告別式をしないことも増えており、
そのときは大きな黒縁の遺影の必要性は低いでしょう。
また遺影はお葬式のあと、
誰かが持ち帰らないといけません。
持ち帰って大事に飾ってくれる親族がいればいいのですが、
いわゆるおひとりさまの場合は、どうでしょうか。
配偶者や子どもがいなくても甥や姪がいて、
親しい関係性があればいいのですが、
それ以外の場合は引取り手がいないということも考えられます。
また親族であっても、
大きな黒い額縁の遺影より
小さなフォトフレームに入った写真のほうが
負担にならないかもしれません。
私は仕事でいわゆるゴミ屋敷の処分に関わってきましたが、
遺影はとても処分しづらいものでした。
残してもどうなるかわからないものを、
あえて用意するか検討の余地がありそうです。
これまで当たり前と思っていたことも、
自分にとってはどうなのか丁寧に考えていくと、
自分らしい終活のかたちが見えてくると思います。