「家」があれば、老後は安心でしょうか 3/3
自分のマイホームは、とても大切ですよね。
大きな安心感とともに自分を守ってくれます。
しかし同時に
自分で家を管理する責任が生じています。
戸締まりや火の元の管理、電灯をちゃんと消すといった日常的なことから、
トラブルがある箇所の修繕や災害時の対応など、
全て自分で責任もって行わなければいけません。
高齢になって「気力・体力・判断力」が低下し、
このようなことが難しくなれば、
「家」はその人の生活を脅かす可能性さえあります。
一戸建であれば特に、
戸締まり一つとっても高齢者には負担です。
傷みやすい水回りの修繕を
きちんとした業者に適正価格で依頼することも
高齢者には容易ではありません。
地震や台風への備え、後始末も同様です。
これまで高齢のご夫婦やお独り暮らしの方を支援してきましたが、
長年の愛着がある家から離れられず、
もっと住みよい環境を得ることを拒まれて
残念だと思うことも多々ありました。
「愛着」が「執着」になってしまうと、
自分が安全に快適に暮らすことよりも、
その家に住むことだけにこだわって、
住む人のほうが犠牲になっているように感じることが・・・。
もちろん、高齢者はみんな施設に入るべきというのではありません。
自分の家でずっと暮らしたいという人として当たり前の感情は、
最大限に優先されなくてはいけないでしょう。
ただ自分の家で長く暮らすのであれば、
「家」という容れ物があればいいのではなく、
家の「管理」を誰がどのように責任を持って担うのか、
きちんと考えておくことが必要だと思うのです。
「日常生活」だけならば、
介護保険サービスでほとんどの問題に対応できます。
しかし「家」の問題については、
年を重ねたとき現実的に対処するための
意識の変化が求められるのではないかと考えています。