さいごまで私は私 ~心構えと暮らしの備え~

女性を応援する終活カウンセラーです

棺に何をいれるのか

多くの高齢者の最期に関わってきて、

つくづく学んだことがあります。

 

「人は、すべてを持って死ねない」

ということです。

 

お別れのとき棺に入れることができるのは

写真や身の回りの品など、

本当にわずかなもの。

多額の財産や不動産があっても、

あの世までは持っていけない。

 

棺のご遺体に花を手向けながら、

では私自身は最期のとき棺に何を入れたいか、

考えることがあります。

 

地域によっては、

棺に特定の何かを入れる風習などもあるようですね。

f:id:satukimay:20220227171337j:plain

自分にとって大切なもの、

あの世でも大事にしたいものって何だろうと考えてみます。

 

大切な本や手放せない写真などでしょうか。

そして大好きなミュージカルのDVDかな?

DVDやCDなど金属製のものはダメだといわれますが、

自治体によっては可燃物として処理しているところもあるので、

いずれOKになることを願っています(笑)。

 

 

ゴミ屋敷とまではいかなくても、

モノを溜め込む高齢者は多いと感じます。

加齢に伴ってゴミ出しや片付けが負担となっていたり、

モノに囲まれることで

不安を紛らわせているのかもしれません。

 

しかしそのような状況に接するたびに、

私自身は断捨離を行ってきました。

掃除や片付けが負担と思う年齢になる前に、

できることをやろうとモチベーションが上がります。

 

モノが少ないことで今あるものをしっかりと把握でき、

不足感・不安感が軽くなります。

大丈夫、必要なものはちゃんとここにある、という思い。

 

そして自分の暮らしを

自分でしっかりコントロールできている安心感も得られます。

 

漠然とした老後の不安に悩むより、

手を動かして、

自分にとって大切なものを確認していくことが

有意義ではないでしょうか。

 

余計な買い物も少なくなりました。

本当に必要かどうか十分に考えています。

 

それを自分の棺に入れてほしいか。

一緒に旅立ちたいか。

 

そこまで考えて手に入れたものは、

自分にとって本当に価値があるものです。

そんなものだけに囲まれた人生を送りたいなと

いつも思っています。

遺影のはなし

お葬式とは何か、という話を以前書きました。

 

「お葬式」の意味を知っていますか?

 

お葬式には必ず「遺影」が必要、と

思っている人もいるのではないでしょうか。

 

最近は葬儀社などが、

元気なうちに自分が気に入るような遺影を

撮影するイベントなどもしているようです。

 

葬儀・告別式で多くの親族や友人知人が集い、

自分の死を悼んでくれる。

その際の中心となる遺影が

何だかパッとしない写真だったら嫌だな、

という気持ちは良くわかります。

f:id:satukimay:20220220134548j:plain

少し前まで遺影というと、

喪服を着たように加工したものが多かったですね。

しかし最近では自然なスナップ写真を

そのまま使うこともあります。

 

遺影の役割や意味は、

変わってきたと感じています。

 

例えばかなりの高齢で亡くなった場合、

近親者もそれなりの年齢です。

家族葬直葬のようなかたちで

告別式をしないことも増えており、

そのときは大きな黒縁の遺影の必要性は低いでしょう。

 

また遺影はお葬式のあと、

誰かが持ち帰らないといけません。

 

持ち帰って大事に飾ってくれる親族がいればいいのですが、

いわゆるおひとりさまの場合は、どうでしょうか。

 

配偶者や子どもがいなくても甥や姪がいて、

親しい関係性があればいいのですが、

それ以外の場合は引取り手がいないということも考えられます。

 

また親族であっても、

大きな黒い額縁の遺影より

小さなフォトフレームに入った写真のほうが

負担にならないかもしれません。

 

私は仕事でいわゆるゴミ屋敷の処分に関わってきましたが、

遺影はとても処分しづらいものでした。

残してもどうなるかわからないものを、

あえて用意するか検討の余地がありそうです。

 

これまで当たり前と思っていたことも、

自分にとってはどうなのか丁寧に考えていくと、

自分らしい終活のかたちが見えてくると思います。

介護離職のむずかしさ 2/2

介護離職が増えると、

社会に大きなデメリットが生じます。

 

それでも介護離職を選ぶ人がいる要因は、

①情報の不足、偏り

②社会や周囲の理解不足、不当な評価

などが考えられます。

 

また、

③介護者自身の生活への不安

もあるのではないでしょうか。

 

親に介護が必要な年代になって、

正規雇用など不安定な就労状況だったり、

あるいは多忙過ぎて疲れを感じていたりすることも

あるかもしれません。

 

それらの不安や負担から、

介護をきっかけに仕事を離れることを

選ぶことも考えられます。

 

f:id:satukimay:20220212180602j:plain

さまざまな理由があるとしても、

私は介護離職をお勧めしません。

 

介護は育児と違い、終わりがみえないものです。

また日を追うごとに親の状態は悪化していくので

介護の負担は重くなっていきます。

 

平均的な介護期間は約5年といわれ、

10年以上に及ぶこともあります。

 

その間、自分自身も年を取ります。

心身の疲弊は想像以上に大きいでしょう。

 

 

そして介護を終えたあと。

 

介護者自身の老後不安が発生します。

介護をしている最中は、

親の年金や預貯金等で生活費が賄えても、

その後はどうなるのか。

 

中高年になって一定期間社会から離れていた後の

再就職はとても難しいです。

無職の期間が長ければ、自分自身が将来受給できる

年金額も減少しています。

 

一生大丈夫なだけの相続財産があれば別ですが、

このようなリスクを考えたうえで

慎重に決めなくてはいけません。

 

しかし介護離職をするとき、

約半数が誰にも相談せずに決断したという

調査結果があります。

 

家族の最期に寄り添いたいという気持ちは大切です。

その気持ちと、

自分のこれからの暮らしをよく考えて、

介護サービスや周囲の力を上手に借りる方法があることを

知ってほしいと思います。

介護離職のむずかしさ 1/2

働く女性は増えていますね。

 

女性の自立や社会進出といった面だけでなく

コロナ禍の前から景気の低迷が続いており、

生活のために働かざるを得ないことも多いでしょう。

 

暮らしや子どもの教育費のために働き、

ちょっと一息ついたころ親に介護が必要になる、

ということはよくあります。

 

家族形態が変化し、

兄弟姉妹が減少しているなか

自分しか親を看る人がいないことも。

f:id:satukimay:20220206144930j:plain

 

介護を理由に仕事を辞める「介護離職」。

統計によると年間約10万人が介護離職をしており、

その8割が女性です。

 

介護離職の現状

 

 

介護保険制度や介護休業制度があっても

なかなか減少していません。

 

介護離職者が増えると

社会全体として経済状況が悪化し

活力が低下します。

 

また企業も人手不足のなか人材の損失、

新規雇用にかかる手間や費用負担の増加と

デメリットがあります。

 

 

なぜ介護離職を選ぶ人がいるのでしょうか。

 

それぞれの家族関係や価値観はさまざまだと思いますが、

以下のような要因も考えられます。

 

①情報の不足、偏り

自分自身が直面するまで、

介護のことを気に留めていないことがほとんどでしょう。

親はいつまでも元気だと思いがちです。

いざ状況が変わったとき、

施設や介護サービスは多額な費用がかかる、

施設で職員から虐待を受けるなど、

マスコミからの一方的な情報を真に受けることもあるようです。

 

今はいろいろな介護サービスがあるのですが、

多くの人がイメージする介護は一世代前の姿のようです。

自分の親世代が、祖父母を自宅で介護していた頃。

今では状況は大きく違っています。

 

 

②社会や周囲の理解不足、不当な評価

「親の面倒は、子どもがみるのが当然」

「施設に入れると、かわいそう」

「家庭のことで、職場に迷惑をかけるな」

などと言う人は、

今でもやっぱりいるでしょう。

 

また自分自身も他人の介護に対して、

そのように考えていたと気付くことがあるかもしれません。

 

人はだれでも年を取ります。

超高齢社会である日本では

介護は個人の問題でなく、

社会全体の取り組んでいかなくては

いけない状況となっています。

住みやすい家とは 3/3

昨今のコロナ禍もあり、

家にいる時間が増えた人は多いと思います。

 

住みやすい家づくりのために、

ご自分がどんな動きをしているか

あらためて捉え直してみましょう。

 

これまで当たり前にしてきたことが、

年を重ねると

だんだん負担になることもあります。

それを頭に入れて

見直してみることをおススメします。

f:id:satukimay:20220128172646j:plain

例えば台所。

食器棚や冷蔵庫・電子レンジなどの場所は

自分の動きに逆らわずスムーズでしょうか。

ゴミ箱の位置は?

不自然な動きは、

ちょっと調子が悪いとき

何かにぶつかったりギックリ腰につながります。

 

また高齢になると、

しゃがむ動作が負担になります。

お米や野菜・油などの重いものを

低い位置に置いていませんか。

そうであれば違う場所に移すことを検討してみては。

 

 

トイレでは、

替えのペーパーや掃除道具などを

ちょっと無理な体勢を強いるところに

置いていたりしがちです。

要らないものは処分して、

必ず使うものだけ

出し入れがしやすく残りが把握しやすいような

ところに移すといいですね。

 

 

そして浴室。

手すりを付けるなどの工夫ができますね。

 

ここで気を付けたいのは脱衣室です。

衣類の脱ぎ着の際、

ちょっと腰掛けられると、とてもラクです。

下着や靴下を脱ぐとき、

バランスを崩すこともあります。

脱衣室に手すりがあるだけでも違いますよ。

 

またタオルや着替えも、

すぐに手が届くところに置き

違う場所からいちいち持ってこなくていいほうが

入浴が苦になりませんね。

 

 

一日の1/3を過ごす寝室は、

とても重要です。

夜間は周囲が暗く、身体の動きも鈍くなります。

まず灯りがすぐに付けられること、

トイレまで遮るものがなく安全に動けること。

起き上がり動作がスムーズにできるような

手すりや家具の配置も大切です。

 

住み慣れた家だからこそ、

うっかりと油断しがちなことがあります。

 

自分の家が自分を守る砦であるよう、

しっかりと備えていきたいですね。

住みやすい家とは 2/3

私が住む地域はさいわいに

地震が少ないところです。

しかし水害が起こりやすく、

夏は台風の被害に備えなければなりません。

 

住みやすい家を考えるとき、

「防災」の視点はとても重要です。

 

地震や台風のとき、

がけ崩れや浸水のリスクはないか。

屋根や窓は安全か。

避難所までの道のりはどうか。

 

災害時は自分の身の安全確保が最優先ですが、

地震や台風が過ぎ去ったあとも

暮らしは続いていきます。

 

もし被害が生じたら、

自分でどのように対応し、後始末できるか。

真剣に考える必要があります。

 

自分で管理できる範囲を明らかにして、

万一の際に支援してもらえる人や機関などを

普段から想定しておくといいですね。

 

いつ何が起きるか正確に予想することは困難です。

それでもできることはちゃんと準備している、

と思えることが

不安を軽くし安心に繋がっていきます。

f:id:satukimay:20220123112222j:plain

また「防犯」も大切です。

 

毎日の戸締りを忘れない、

同時にそれが負担にならないような工夫。

 

近所付き合いは面倒なこともありますが、

周囲の目があるほうが安心なことも多いです。

異変に気付いてもらえる環境は、

高齢になるほど必要でしょう。

 

そして未知の訪問者には

玄関扉を開けないで対応できるか。

 

きっちり用心することと、

支援の手を受け入れることの両方の線引きを

自分の中で考えておきましょう。

 

万一のことを想像するのは嫌なものです。

テレビなどの情報で、

過剰に不安を煽られてしまうこともあります。

 

だからこそ、

自分の地域と自分の暮らしを冷静に捉えて

自分の想いを行動にしていく。

まだ元気な今だからこそ、

できることはたくさんありますよ。

住みやすい家とは 1/3

バリアフリー住宅」を謳った家はたくさんあります。

 

以前関わったある高齢者のお宅は、

バリアフリー」を積極的に取り入れたものだったらしいのですが、

実際には使いづらそうな面がありました。

 

たしかに室内はまったく段差がなかったのですが、

寝室がある2階までの階段は狭く、

玄関から外までも狭い階段がありました。

これでは足が弱ると外出が難しくなります。

2階の寝室へ行くのも大変で

結局ベッドを1階のリビングに置かなくてはいけなくなっていました。

 

f:id:satukimay:20220119111220j:plain



住まいは、生活の質に大きく関わります。住みやすい家を考えるとき、

3つの視点が必要だと思っています。

 

まずは「どこに住むか」

そして「防災・防犯」

さいごに「生活動線」です。

 

高齢になるほど、外出の機会を確保することが大切になります。

日々の生活に必要な買い物が、

支障なく行えること。

ちょっとした用事で出かけることが、

億劫に感じないこと。

誰かの手を借りなくても、

外出できること。

そして何かあったときは、

周囲の支援が得られること。

 

長年住み慣れた場所が一番という方も多いでしょう。

しかし社会の変化や自分自身の加齢に伴い

状況は変わっていきます。

 

交通機関が不便だったり、

買い物や通院などが負担になったり、

デイサービス等を利用するとき車が停められなかったり。

 

今はなんとかなっても

先々に不安を感じていることはありませんか。

住む場所を見直すことが可能であれば、

早めの行動が必要です。

 

住まいに関することは、

精神的にも経済的にも大きなことです。

自分一人で決められないこともありますね。

だからこそ今後の暮らしを

長期的な視点で見つめ直していくことが

大切だと考えています。